Webマーケティングをソフトウェア開発で支える

現職ではデータによるWebマーケティングが会社として根付いています。完全に慣れたとは言えませんが、当たり前のようにABテストや機械学習が行われる環境には最初は、特に面食らったものです。

会社としては3つの領域、ソフトウェアエンジニアリング、マーケティング、データサイエンスをそれぞれ兼ね備えたスキルが推奨されているらしく、確かに、上司でプログラミングができない人間は、たぶんほぼいません。コーディングレベルの話を、企画の人間も当たり前のようにします。もちろん濃淡はありますが、総じて平均レベルは高いように感じています。キャリアがはるかに短い人間でもわたしの上司だったりしますし、このデータ規模のシステムを運用する現場に生え抜きで入った人間がスキルとして高いものを身につけるのは当然で、羨ましい気持ちも多いです(とは言え、昔の自分は一匹狼だったので、勧められても入社してなかった可能性が高いですけど)。

インフラ専任やその他業務に特化した役割も多い中、わたしは比較的上流の立場も担わせてもらっているので、マーケティングや会社の意思決定に近い場面での話を聞くことも多い気もします。その中で感じているのは、マーケティング分野でソフトウェアができることはまだまだあるんだな、ということです。マーケティングと一口に言っても幅広く、Web上に限ってもSEOの分野に限らないし、紙媒体での広告も自社内でやっているので、入社して初めて見た現場の様子はたくさんあります(これは物流も同様ですね)。かなりの部分を基本的に自社内でやっているせいか、ソフトウェアも自作だったりして、まだまだ改善の余地があるなあ、という印象です。わたしが関わっているECサイト開発に関しても、積極的にABテストをやったりマルチアームバンディットアルゴリズムを使ったりとやってるわけですが、案外、こちらも地道な実装で機能が実現されていて、標準化やツール選定の余地もたくさんあります。

個人的なキャリアとしてはシステム開発のフローにこういったマーケティングが埋め込まれていなかったので、とても新鮮ですし、関係する部分のライブラリを設計・実装したりするのは大変楽しい。どうしてもエンタープライズ向けの基幹業務システムとかECサイトとかだと、ある意味では作るべきものが定まっていて、安定感はある反面、技術者としては退屈だと感じるところも多かった(少なくともわたしは)ので、転職のたびに新しい領域の仕事内容で取り掛かれるのはよいですね。

さて、そんなことを書いている間に、ABテストの実装に関して、技術的な懸念が出てきて何やら事態が紛糾しておりました(まだしている気がする)。結構、難易度の高いチャレンジをいきなりしている気がするなあ。別に何か被害が起きているわけでもないので、色々な方々と技術的なディスカッションができるのは幸せなことです。インフラ面での課題とマーケティング上の課題が見事にぶつかっております。わたしは今回「司会役」なので、しっかり進行させるよう、引き続きがんばりますね。