圏論シンポジウムに参加した

昨日、圏論シンポジウムに参加してきました。約100人の席がほぼ埋まってました。参加者として記名するタイミングで、そこに「大学名」「役職」という欄を見つけて、ああ、部外者(=研究者以外)向けではないんだな、と感じた(他意はなく、新鮮だっただけ)。

 

全体としては、30分のセッションが9つ。急遽予定を入れたので、最後の1つだけ聴くことができなかった。詳しいタイトルなどは以下のページを。

http://www.inter.ipc.i.u-tokyo.ac.jp/symposium.html

 

端的に、全体を通して、めっちゃおもしろかった。

https://twitter.com/ironoir/status/1220962339853238272?s=21

 

ざっくり言ってしまうと、物理学・生物学・哲学・美学・プログラミング・論理学などの分野が、主に分野ごとの圏の間の関手とみなすことができる、という例示の場所だったように思う。そこで、2つほど気になったところがある。

 

まず、それは他の代数的構造ではなく、圏でないといけないのか?という点。短い時間の発表ではわかるはずもないが、関手の「構造を保ったまま写す」特性を活かせているのか疑問に思った内容もあった(事実、その発表も最初は群を説明に使っていた)。もちろん、圏論からはあくまでもインスピレーションを受けただけで、精緻な形式化までは目指していないのかもしれない。専門家でないので偉そうなことは私も言えないし、「異文化交流のための共通言語」を目指すのであれば、相当柔軟な態度が求められるだろう。マサカリいくない。その点では、八面体定理の同じ図式が、全く異なる発表内で複数使われていたのはすごくいい演出だなと思った(と言いつつ、実は三角圏も八面体定理もそんなによくわかっていないけども)。

 

次に、数は少なかったが、発表の中に圏論の話がほぼ全く出なかった発表があったので、少しでいいので絡めてほしかった。絡みがないと「一見似てないものが似ている」程度のふわっとした話の印象になってしまって、もったいない気がしてしまった。

 

プログラマとしては、Haskellの話は楽しかったが、盛りだくさんだったので、消化するにはもうちょっと時間が必要かも(今後、資料をリファレンス的に使うのはとても便利そう)。あと、結び目の話は知ってる話だった(というか発表者の方の同内容のブログを読んでいた)ので、安心感があった。

 

というわけで、遠路をかけて行く価値のあるシンポジウムだった。分析哲学をかじったものとしては、分析美学の発表と、類推(比喩表現)に関する発表については突っ込んで考察したいところであるが、それは気が向けば次回に…